あらすじ
「右三歩!」
その一言で、女兵士は魔獣の角をかわし、反撃の槍を突き立てた。
異世界に転生したカイの前世は、ラリーの助手席で進路を読み上げるコドライバー。最後のコールの直後に事故で命を落とし、今度こそ他人の命を預からずに生きようと、ギルドの事務員になった。
ところが、街を襲った魔獣から亡国の女兵士ヴェラを救ったことで、彼女の専属ナビを求められる。
カイの武器は、地形を読む経験と、相手の動きを高速で読み取る《戦導》。届くのは十五メートル以内、姿が見える一人だけ。剣も振れない彼自身が、槍を振るう彼女のすぐそばで走らなければならない。
崩れる橋。声を奪う夜戦。こちらの動きを学ぶ魔物。
一人では越えられない死線を、短いコールと一本の槍で突破する。
ただ一つ、彼女の「次の命令は?」という問いに、カイはうまく答えられなかった。
戦えない男と、命令に生きてきた女兵士が、自分たちの進路を選ぶ異世界バディファンタジー。