あらすじ
アルプスの小国エルステリアの第一王女・天城麗が、東京の私立白鷺学園に入学した。国王のお達しは「いかなる男子も、王女のお傍に近づくことを禁ず」。竹刀の氷室凛、大食いの獅堂ひなた、天才ハッカーの七瀬ノア、変装の名手・鷹宮紫苑という護衛四人が鉄壁の守りを固める中、ただ一人、その隣の席に座る少年がいた。灰原霞――自動ドアにも出席簿にも無視され、名前も一晩で忘れられるほど影の薄い男子だ。ところが王女だけは、なぜか霞をはっきり見つけ、授業中にこっそり言葉を交わすようになる。
コンビニ脱走騒動、雨の日の古書店、護衛たちとの「一日ずつ」の外出、夏祭り、文化祭。霞は護衛に連行されつつも、少しずつ彼女たちに名前を覚えてもらい、世界に自分の居場所を見つけていく。そんな中、王女がふと漏らした「大切な人の顔を覚えられなかったら?」という問いが、霞の胸に引っかかる。
やがて秋、王女の婚約者候補を名乗る完璧な転校生・ユリウスが現れる。彼が来てから様子が変わっていく王女を前に、霞は自分の想いと無力さに揺れる。誰にも「見えない」少年が、彼女のために選ぶ道とは。冬、物語は大きく動き出す。