あらすじ

「効率こそ正義。金こそ真実」 業界最大手のプライムベンダー「帝都(ていと)システムズ」のエース・橘(たちばな)は、そう嘯(うそぶ)きながら冷徹に成果を上げ続けてきた。 かつて過労で倒れた父を「敗者」と断じ、自らは感情を排した「合理の怪物」として、顧客も下請けも数字の道具として使い捨てる。彼にとってシステム開発とは、利益を吐き出させるためのブラックボックスに過ぎなかった。 だが、そんな橘の前に一人の男が立ちはだかる。 謎めいた独立系(どくりつけい)システムコンサルタント・高岡。 「そのシステムに、魂はこもっていますか?」 高岡の静かだが鋭利な刃のような問いかけは、橘が築き上げた虚飾の塔を足元から揺るがしていく。 反発する橘。しかし、プロジェクトに潜んでいた「致命的な欠陥(バグ)」と、切り捨ててきた過去からの「復讐の刃」が迫る時、男の運命は暗転する。 絶望の淵で彼を救ったのは、無能だと思っていた上司と、ゴミのように扱っていた現場の職人たちだった――。 虚構のプログラムを捨て、真実のコードを刻め。 働くすべての人の胸を熱く焦がす、極上の企業エンターテインメント! 【登場人物紹介】 橘(たちばな)  「所詮、この世は金だ」 「帝都(ていと)システムズ」・最年少シニアマネージャー。父の過労死をトラウマに持ち、徹底的な効率化と利益至上主義を貫く。AIを駆使して表面的な「正解」を出し続けるが、その仕事には体温がない。 高岡(たかおか)  「魂がこもっていませんね」 橘のプロジェクトに現れた敏腕、独立系(どくりつけい)システムコンサルタント。常に冷静沈着だが、技術と現場への愛は誰よりも熱い。橘の薄っぺらい提案を論理で粉砕し、彼に「仕事の本質」を突きつける。 佐古(さこ) 「これが……現実ですから」 橘に酷使される下請け企業のベテランSE。技術力はあるが、長年の不遇により諦念(ていねん)を抱えている。高岡との出会いにより、眠っていた技術者としての「矜持」を取り戻していく。 宮田(みやた) 「僕は……言われた通りに作っただけです」 橘の直属の部下。上流工程の書類作りだけを行い、プログラムは一行も書けない「コードレス・エンジニア」。橘の顔色ばかりを窺い、思考停止して従うその姿は、歪んだ効率化が生んだ「量産型エリート」の末路そのものである。 田中部長  橘の上司。かつては現場の鬼と呼ばれたが、現在は社内システム保守に追いやられた「昼行灯(ひるあんどん)」。常にニコニコと笑い、部下の暴走を黙認しているように見えるが、その胸にはある「覚悟」を秘めている。

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カクヨム
カクヨム2026/10/03
  • 現在の作品高岡盛儀のIT事件簿① ―ブラックボックスの向こう側―