あらすじ
大学を中退し、日雇いの仕事を転々としていた青年・三枝 晃は、深夜専門のアルバイト募集を見つける。
仕事内容は、閉鎖予定の古い団地に設置された監視カメラを、管理室から確認するだけ。
勤務時間は午後11時から午前5時まで。
日給――三万円。
破格の条件だった。
ただし求人票には、妙な注意事項が記載されていた。
「異常を発見しても、決して現場へ向かわないこと」
そして勤務初日、管理人から一冊のファイルを渡される。
そこには、過去の監視員たちが残した「業務上の注意」が記録されていた。
・午前0時以降、3号棟404号室の窓を数えないこと。
・子供が一人でエレベーターに乗っていても声をかけないこと。
・午前2時13分から午前2時17分まで、4号棟の映像を確認しないこと。
・監視カメラに自分自身が映っていても、管理室から出ないこと。
・住民の人数が一人増えていても、記録してはならない。
そして最後の一文。
「午前4時44分、全カメラに同じ人物が映った場合は、監視業務を終了してください」
晃はそれを悪趣味な冗談だと思っていた。
――最初の夜までは。
本作は、███団地で行われていた「監視業務」に関する資料、監視日誌、防犯カメラの文字起こし、掲示板の書き込み、警察資料などを再構成した記録である。
なお現在、███団地という名称の団地は存在しない