あらすじ
2000年秋。
家庭用パソコンとインターネットが、少しずつ一般家庭へ広まり始めた頃。
高校二年生の黒瀬直人は、深夜の匿名掲示板で奇妙な噂を目にする。
「最後まで見たら、変なポップアップが出るサイトがある」
興味本位で貼られていたURLを開いた直人。
黒い背景。
意味のない数字。
壊れた画像。
誰が作ったのかも分からない古びたウェブサイト。
そして、ページを閉じようとした瞬間。
画面中央に小さなウィンドウが表示された。
かならず実行してください。
そこにあるのは、
[はい][いいえ]
二つのボタンだけ。
「いいえ」を押せば、前のページへ戻される。
何度押しても。
何度閉じようとしても。
最後に直人は、苛立ち半分、好奇心半分で――
「はい」
をクリックしてしまう。
翌朝、デスクトップには見覚えのないテキストファイルが作られていた。
午前2時17分までに
部屋のカーテンを閉めてください。
かならず実行してください。
これは警告なのか。
命令なのか。
それとも――
何かを完成させるための「手順」なのか。
インターネット黎明期に存在したと噂される、記録の残らないウェブサイト。
そのページを最後まで見てしまった人間には、今日も「実行項目」が届けられる。