あらすじ

35歳、独身、会社員。

立花隼人には、かつて本気で追いかけた夢があった。
高校時代の仲間たちとバンドを組み、卒業後は大学にも進まず、アルバイトで生活しながら音楽だけに人生を注ぎ込んだ。

いつかメジャーデビューする。いつか大きなステージに立つ。そう信じていたが30代半ばにバンドは解散。

音楽以外のすべてを後回しにしていた隼人だけが、夢を諦められなかった。

それから約10年。

隼人は会社員として働き、酒を飲み、それなりに楽しく、それなりに満足した生活を送っていた。
夢なんて、もうない。

仕事の付き合いを終えた帰り道、隼人はかつてバンド仲間と訪れた小さな神社――【天弁芸能神社】を見つける。

境内に落ちていたゴミを拾い、昔を懐かしみながら500円を賽銭箱へ入れた、その直後。

隼人は神様と出会った。

「あなた、本当はギターより歌う方が向いていましたよ」

今さらそんなことを言われても遅い。

もう35歳だ。

もう一度すべてを捨てて、夢を追いかけるつもりなんてない。

そう答えた隼人へ、神様はたった1度の機会を与える。

次に目を覚ました時、隼人は15歳。

高校の入学式当日の朝へ戻っていた。

さらに与えられたのは、自分が本来持っていた芸能の才能を補正する【芸能の加護】。

そして360日ごとに10曲分の可能性を得られる、不思議な能力【運命のダイス】。

ただし、能力があるからといって成功が約束されているわけではない。曲を作る知識も、録音する技術も、届ける方法も、自分で学ばなければならない。

2年間かけて歌唱、演奏、DTM、録音技術を磨いた隼人は、顔も、本名も、年齢も隠したまま、インターネットへ最初の1曲を投稿する。

アーティスト名は――【Lento】。

意味は、「ゆっくりと」。

これは、夢しか持てなかった男が、もう一度夢を追いかける物語ではない。

夢も、家族も、友人も、普通の日常も。

今度こそ何一つ捨てず、自分の人生を自分で選びながら音楽を続けていく物語。

そしてLentoの歌は、やがて彼自身の想像を超えて、多くの人の人生へ届いていく。

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アルファポリス
アルファポリス2026/10/03
  • 現在の作品リプレイ・ミュージック ―35歳、もう一度だけ夢を見る―