あらすじ
魔王を倒す。それだけが、幼い頃から与えられた、勇者アレンの生きる意味だった。
父を守りたい。それが、魔王の娘リリアの願いだった。
勇者と魔王の決戦に、幼いリリアが持ち込んだ禁忌の秘宝《転魂の鏡》。
砕けた鏡の光が入れ替えたのは――勇者と、魔王の娘の魂だった。
「待て、私はリリアではない! 勇者アレンだ!」
「もう大丈夫だ。父がついている」
十歳の魔王の娘になったアレンを待っていたのは、敵であるはずの魔王から注がれる、不器用で温かな父の愛。
一方、十六歳の勇者の身体になったリリアは、人間の国で、誰にも正体を明かせないまま勇者として歩み始める。
遠く離れた二人をつなぐのは、一片ずつ残った鏡の破片。
元の身体へ戻る方法を探し、互いを支えるうちに、相手の世界も、家族も、少しずつ大切になっていく。
けれど、人間と魔族の争いは、二人を待ってはくれなかった。
敵として出会い、互いの人生を生きることになった二人が、やがて自分の意志で選ぶ未来とは。
これは、勇者が魔王の娘として愛を知り、魔王の娘が勇者として世界と向き合う、入れ替わりと家族の愛をテーマにしたTSファンタジー。