あらすじ
ピピピ、ピピピ、とアラームが鳴った。二十八歳の会社員、高瀬直哉の視界に突然現れた、九十四日から減り続ける数字。何を示す数字なのかは分からない。それでも直哉は、ゼロになった後のことを考えずにはいられなかった。直哉は、先延ばしにしてきたことを始める。早朝の街を歩き、積んでいた本を読み、母へ連絡し、友人と再会し、想いを寄せる同僚を写真展へ誘う。数字が見えるようになってから、以前より人生は充実していた。しかし直哉は、やがてすべての時間に価値を求め始める。睡眠、仕事、家族との会話、友人とスマートフォンを見る時間。その一秒一秒が、本当に正しい使い方なのか。時間を大切にしようとするほど、直哉は目の前の時間を生きられなくなっていく。人生は一つしか歩めない。では、その限られた時間の価値を決めるのは誰なのか。