あらすじ
真に見るべき場所は、ただ一点しかない
──ブレーズ・パスカル『パンセ』
一九九三年、記録的な冷夏。
雨のスクランブル交差点を、ひとりの刑事が歩いていた。激しい頭痛と吐き気を抱えながら、警察にも病院にも立ち寄らずに。
翌日、刑事は死んだ。
三十三年後。
Instagramで鉛筆画を描く「カスミ」のもとへ、見知らぬ女性から一通のDMが届く。彼女もまた、鉛筆で絵を描いていた。
描こうとしているのは、記憶のなかに残るひと。
やがて二人の交流は、三十三年前の雨の日へと繋がっていく。
黒鉛は、黒いほど光る。
見る角度によって、その色を変えながら。