あらすじ
サービス付き高齢者向け住宅「シニアハウス千歳」。
入居者50人。空室0。
入職3か月目の訪問介護員・高瀬直人は、午前2時13分、5階の廊下で見知らぬ老人に出会う。
「まだここにいるのか」
老人は高瀬を知っているように話し、数秒目を離した間に姿を消した。
翌朝、防犯カメラを確認する。
老人は映っていなかった。
映っていたのは、誰もいない廊下に向かって会話する高瀬だけだった。
外部からの侵入記録はない。
入居者50人の所在も確認できた。
見知らぬ老人に該当する人物は、どこにもいない。
ただ一人、認知機能が低下している入居者の村瀬トキだけが、昨夜のことを知っているような言葉を口にする。
「今日、高瀬さん二人いるの?」
サービス提供責任者の黒田誠一は、老人の正体を調べ始める。
なぜ現れるのは、午前2時13分なのか。
なぜ老人は高瀬を知っているのか。
そして、「まだ」とは何を意味するのか。
入居者は50人。
それでも午前2時13分だけ、この住宅には一人多い。