あらすじ
獣人の国に暮らす人間族の少女ミレイには、番という制度を信じられない理由があった。母は、虎獣人の大商人に「お前は俺の番だ」と一方的に決めつけられ、自由を奪われて囲われた末に、心を病んで亡くなったのだ。彼女にとって、番は「運命」ではなく、獣人が人間から選択肢を奪う口実にしか見えない。
母の死後、ミレイは母が遺した匂い消しの薬草のレシピを頼りに家を出て、遠く離れた辺境伯ゼルギウスの屋敷で侍女として働き始める。主人の黒豹は、二十年もの間、番を探し続けているという冷酷な男。関わらずにいれば安全なはずだった。
ところが、ある夜に薬草が切れる。その瞬間、ゼルギウスはミレイを抱きすくめる。「見つけた。……もう、二度と離さない」