あらすじ
大陸統一歴三百十七年、十月。
チェド湖での敗戦から六十日。二十二歳の部隊長アレックス・ヘイロスは、九名の部下とともに城塞都市アラモへたどり着く。
偵察任務に出ていたため生き延びた十名は、ルトニア王国軍の目を避けながらチェド湖西岸の旧街道を南下し、かつての故国を目指していた。
しかし、ようやく入った旧サイサリス公国領で、彼らは公国がアンドラ公国の支配下に置かれたことを知らされる。
帰るべき国を失ったアレックスたちが向かったのは、キール将軍が守る城塞都市アラモだった。
豊かな穀倉地帯と南東への交易路を守る城塞都市では、キール将軍がアンドラ公国からの服従命令を拒み、ビアトリクス公女の帰還を待っていた。その噂を聞いたサイサリス公国軍の兵士たちも、各地から少しずつ集まり始めている。
父の旧友であるキール将軍と再会したアレックスは、チェド湖で目撃した敗戦のすべてを語る。
そしてキール将軍は、初陣を終えたばかりの若き部隊長に、集まり始めた兵士たちを一つの部隊へまとめる役目を託す。
九名の部下とともに兵士たちの前へ立ったアレックスは、新たな一歩を踏み出す。
「アレックス・ヘイロスだ。今日から、私が諸君を預かる」