あらすじ

「よく飲んだわね」 銀の杯の向こうで、義母フリデリケが微笑んでいる。夫である若き王エドムントは、目を逸らしたまま何も言わない。二十歳の冬、王妃の私は毒を盛られた。 床に伏した七日のあいだ、宮廷で異を唱えたのは、北の〈人食い公爵〉ブルクハルト・ラーベンシュタインただ一人。その方が反逆の罪で捕らえられたと聞いた夜、私は息を引き取った。 目を開けると、八歳。今日は王太子殿下との顔合わせの茶会で、父は娘を王家に売る算段に忙しい。 茶会の庭で、私は王太子の差し出した手を素通りし、末席にいた黒衣の公爵の膝によじ登った。 「わたし、この方のお家の子になります」 凍りつく庭で、公爵は膝の上の私を見下ろし、一言だけ告げる。 「……理由は、大きくなってから聞こう」 王家の毒、実家の借金、王妃の実家が握る薬草の畑。一周目に王妃として知った秘密を、私は一つずつ養父に渡していく。無口な養兄ザシャも、毒舌の大奥様ゲルトルーデも、人を食うと噂の公爵家は、なぜか私のおねだりに全員が弱い。 「今度は、私があなたを守る番です」

連載情報

ウェブ小説

配信言語
カクヨム
カクヨム2026/10/03
  • 現在の作品毒殺された王妃、八歳に戻ったので今度は〈人食い公爵〉の養女になります ~一周目で私の毒殺に異を唱えたのは、あの方だけでした~