あらすじ
八歳で聖女に選ばれてから十二年。 アニエスは走ることも、重い物を持つことも、傷を作ることも禁じられ、神殿で祈りと治療だけを続けてきた。
だが、新たな聖女が現れたことで、その役目は突然終わる。
「では……もう、走ってもいいのでしょうか?」
神殿を出たアニエスは、生まれて初めて自由に走り、すぐに息を切らした。 けれど彼女には、傷も疲労も治せる強力な回復魔法がある。
疲れたら治す。 筋肉痛になったら治す。 また鍛える。 魔力が切れたなら、今度は魔力を鍛えればいい。
「回復魔法があれば、いくらでも身体を鍛えられるのでは?」
こうして、見た目は華奢なままなのに、なぜか際限なく強くなっていく元聖女が誕生した。
治癒術師として安全に働く道を勧められても、彼女が選んだのは――前衛。
これは、役目を失った聖女が、回復魔法を盛大に間違った方向へ使いながら、自分のやりたいことを見つけるまでの物語。