あらすじ
国を変える話は、酒の席の冗談から始まった。
「俺、政治家に向いてるかもしれない」
2024年、冬。かつてテレビで活躍した元芸人・三浦は、倉沢町の小さなインドネシア料理店で、町議となったグリフと出会う。
もう一度、人々に注目されたい。できれば国会議員にもなりたい。
しかし、肝心の政策を聞かれた三浦の答えは、「なってから考える」だった。
そんな三浦が興味を持ったのは、倉沢町で行われてきた住民会議と住民投票だった。
選挙で選ばれた人に、すべてを任せるのではない。
普通の人が問題を知り、話し合い、必要なときには自分たちで決める。
けれど、国民による投票は、声の大きな人や強い組織に操られる危険もある。どうすれば、賛成と反対の両方を聞き、考えてから決められるのか。
グリフ、上村、政界を知る久保とともに、三浦は制度を学び、自分の言葉で語り始める。やがて彼らが見つけた最初の入口は、誰もが政治へ意思を届けられる電子署名基盤だった。
政治団体「話せる国」を立ち上げ、配信を始めた三浦たち。
そして突然の衆議院解散により、落選を前提とした無謀な挑戦が始まる。
組織も、資金も、政治経験もほとんどない。
あるのは、少しばかり知られた顔と、人前で話す力、そして倉沢で見つけた一つの考えだけ。
「庶民を馬鹿にすんなよ」
元芸人の叫びは、国民が政治へ参加するための、新しい道具を生み出せるのか。
これは、政治を知らなかった男が、観客席を降り、自分の足で政治の舞台へ上がっていく物語。