あらすじ
【シリーズ第四部。単体でも読めますが、第一〜三部を先に読むと倍の深さで楽しめます】
二十九歳、広告代理店勤務。同僚の彼と私は、週末になると女を演じ合う。渚、岬、明美、しずか、雪絵──衣服と名前を替えるたびに別の魂が目を覚ます、そういう関係を続けてきた。
その彼が、消えた。
「三ヶ月の留学」と言い残し、翌日には休職届。マンションは売却され、どのアカウントも沈黙したまま。二ヶ月後、暗号化されたドメインから一通の招待状が届く。
【一度入ったら謎を解くまで出られない、秘密のパーティー。あなたは参加者全員と肉体関係を持ち、謎を解かない限り、外の世界に出ることはできません】
人物表には、七人。美少女探偵、女性プロファイラー、怪盗と噂される私立探偵、獣を飼うダンサー、没入型女優、無職のヒモ、売れない女優。全員が、彼だった。
世田谷の森の洋館『DOLL HOUSE』。シリコンの仮面を被った六人の剥製が、拍手も瞬きもせずに私を迎える。客室のドアにはシンボルマーク。地下の小部屋には七つのロッカーと三面鏡。私もまた、衣装を替えて別の人物になり、相手の「好きなタイプ」を満たさなければ、彼の防壁は解けない。
関係を結んだ人物は「死神」に殺されて退場し、死に際に一語ずつ、暗号を遺していく。
──最後の、ペルソナは、ペルソナの、形をした、ただ一つの、ペルソナを。
順序を一つ誤れば詰む、消去法のパズル。仮面を被ったまま彷徨う共犯者たち。そして、誰も眠らない夜の果てに待つ、仮面舞踏会。
演じることをめぐる恋愛小説が、推理小説の顔をして、あなたを館に招きます。
※R15。暴力・性的な場面を含みますが、作中の暴力はすべて登場人物同士が仕組んだ「芝居」として描かれます。