あらすじ
レオンには、《距離》が分かる。
壁まで3.21m。
木まで12.48m。
あそこで転んだおっさんまで27.63m。
以上。
「……地味じゃね?」
剣が強くなるわけでもない。
ド派手な魔法が撃てるわけでもない。
分かるのは、ただ《距離》だけ。
まあ便利ではある。
物を投げるときとか。
道を歩くときとか。
暇なときとか。
そんな能力を持つレオンは、ある日、妙なものを測った。
《0.00m》
「ゼロ?」
目の前にある。
手を伸ばす。
届かない。
「…………ゼロってなんだっけ?」
そこから、どうもおかしくなった。
自分から物までしか測れなかったはずの《距離》は、レオンが「距離ってなんだ?」と考えるたびに、少しずつ妙なことができるようになっていく。
そして気づけば、レオンは《踏査者》として未知の土地を歩くことになっていた。
知らない場所。
知らない人。
知らない景色。
そして、どうにも測れないもの。
まあいい。
分からないなら、近づけばいい。
近づいて駄目なら、考えればいい。
それでも駄目なら――。
「とりあえず、もう一回測るか」
これは、《距離》が分かるだけだった少年が、
測って、歩いて、たまに余計なことをして、
少しずつ世界を知っていく物語。
ところで――。
世界の果てって、あと何メートルなんだろう?