あらすじ
史上初の《時間停止》が確認された。
王立アルヴェル魔導騎士学院に入学したルーク・クロフォードが授かった固有術式は、これまで存在しないとされていた本物の時間停止。
その事実に、教官も研究者も騒然となった。
――持続時間が判明するまでは。
【停止時間:0.100秒】
【再使用間隔:3.000秒】
【外部干渉性:極低】
【戦技実用評価:E】
止められるのは、たった0.1秒。
しかも停止中の相手を斬ることも、動かすこともできない。
「0.1秒で何ができるんだ?」
ルーク自身も、最初はそう思っていた。
だが、飛んできた木剣が顔に当たる直前、反射的に時間を止めたことで気づく。
止まった世界では、どれだけ速い剣も動かない。
ほんの数センチ、身体をずらす。
それだけで攻撃は外れる。
ならば――避けるだけでなく、相手の死角へ移動したら?
剣を最も有利な位置へ置いたら?
敵が攻撃を避けられなくなった瞬間だけ、時間を止めたら?
0.1秒で敵を倒す必要なんてない。
勝敗を決める一瞬だけ、自分のものにすればいい。
能力そのものは、最後まで強くならない。
停止時間は0.100秒。
再使用間隔は3.000秒。
変わるのは、その一瞬を使う少年だけ。
これは戦闘評価Eの《0.1秒停止》を極めた少年が、やがて世界最強の剣士へ駆け上がる物語。
たった0.1秒、されど0.1秒。
剣士には――長すぎる。