あらすじ
人類軍最高性能の完全人型戦闘アンドロイド――アリス。
百五十八センチの小柄な身体で、戦場では一切の感情なく敵を制圧する。
軍内での通称は、“白い死神”。
そんな彼女が、調整技師・凪の古びた一DKで暮らすことになった。
最初のアリスにあるのは、「必要か、不要か」という判断だけ。
食事は必要ない。
娯楽も必要ない。
誰かの隣に座る必要もない。
ましてや、恋なんて――兵器には必要ない。
ところが。
「……追加検証を希望します」
初めて食べたピザを、もう一切れ。
「もう一本、視聴を希望します」
初めて観た恋愛映画を、もう一本。
そしていつしか――。
「凪。髪を撫でてください」
「接触の継続を希望します」
「今日は、一緒に眠りたいです」
基地では冷徹無比の最強兵器。
なのに家へ帰れば、凪のぶかぶかのパーカーを着て、ソファの隣を当然のように確保するようになっていく。
恋愛映画を“教師データ”として学びながら、
アリスは少しずつ知っていく。
美味しい。
嬉しい。
寂しい。
嫉妬する。
触れたい。
離れたくない。
そして――「好き」。
これは、恋をプログラムされたアンドロイドの物語ではない。
何も望まなかった最強兵器が、
命令でも、任務でも、学習結果でもなく、
「私が、そうしたいです」
と、自分の意思で誰かを選べるようになるまでの物語。
そして今日も、“白い死神”はソファで俺の隣に座り、無表情のまま告げる。
「凪。本日のキス回数が不足しています」
――外では人類最強。
家では、俺にだけ甘える。
冷徹アンドロイドと天才調整技師の、糖度高めな同居SFラブコメディ。