あらすじ
木曜日の午後、いつもの駅の隣で降りて入った古びたカフェ。
隣の老夫婦は「地下鉄のトンネルが勝手に曲がっている」と穏やかに話し、僕のポケットにはいつの間にか見知らぬメモ用紙が転がり込んでいた。
この世界は長い年月を経て少しばかり重くなりすぎたらしい。
地下鉄が曲がり、部屋が縮み、辻褄の合わなくなった誰かがこつ然と消えていく。昨日の朝までそこにいた彼女も、きっと世界の省エネ運転のなかでどこかへ吸い出されてしまったのだろう。
不条理に満ちた日常を、誰もが「そういうものだ」と受け流す街で。
主人公の「僕」は、冷めかけたコーヒーを飲みながら、ただ静かにその歪みを眺めている。
乾いた不条理で描く、少し奇妙でシニカルな現代ファンタジー。