あらすじ
「星降りの儀を導くのは、真に星に愛された聖女リーリャだ。君のやっていた裏方仕事など――計測と杭打ちだろう? 誰にでもできる」
夏至前夜の大広間。王太子アルヴィスに婚約を破棄された伯爵令嬢セレスティア・ミラルダは、泥だらけの長靴のまま完璧な礼をして、こう答えました。
「かしこまりました、殿下。――では、引き継ぎをさせていただきます」
前世は日本の建設会社で現場監督兼積算担当。工期遅延の尻拭いで過労死した元社畜の彼女にとって、理不尽な宣告は日常茶飯事。泣くのは引き継ぎを終えてから、が現場のルールです。
十二年分の観測記録。湖畔に打たれた七十二本の導星杭。年ごとに北へ流れる落下軌道と、平均二十三分ずれる落下開始時刻。「祈れば星は降る」と微笑む聖女に、彼女は静かに図面を広げます。
――星は、祈りでは降りません。ちゃんと、迎えに行くものですの。
引き継ぎ資料を突きつけて辞任した令嬢と、彼女の数字だけを信じた無骨な将軍。夏至の湖で、誰が本当に星を降らせていたのかが明らかになる、痛快お仕事系ざまぁ物語。