あらすじ
2065年。
アンドロイドが生活のすみずみに溶け込んだ世界で、突如として暴走するアンドロイドが相次いでいた。
港町でバーを営むコーイチは、暴走個体を実力で制圧する組織「ASS」の隊員。
恋人のまゆみは、ハッキングで対処する「ACS」の隊員だ。
コーイチの趣味は、今では走ることすら許されない「化石」となった旧車やバイク。
まゆみは、そんなコーイチの子供っぽさに呆れながらも、誰よりも彼を心配している。
二人はいつも通り、くだらない軽口を叩き合いながら、暴走するアンドロイドに立ち向かい、他愛のない日常を積み重ねていく。
やがて世界では、意思を持ち始めたアンドロイドへの不安が広がり、「全アンドロイド強制初期化」が決定する。
実行日は、2065年5月16日。
記憶を失うことが決められた世界で、二人はそれぞれ、誰にも言えない秘密を抱えていた。
そして迎えた、最後の夜。
いつものバー。
いつもの酒。
いつもの二人。
乾杯しようとしたその時、二人の手から、同じ小さな瓶がこぼれ落ちる。
二人は、何を知っていたのか。
そして、その夜に何を選ぶのか。
これは、記憶を失う前夜に、二人が選んだ、ありふれた恋人たちの物語。