あらすじ
ボーイミーツガールが大好きです。
【あらすじ】
西暦2150年、白い霧のナノマシン「アトモ」に覆われた日本。
深い悲しみを抱えた者は肌から銀の硝子へ変わっていく。
人々はそれを「遅れてくる空気の呪い」と恐れ、死者を送る夜には涙をこらえて歌う。
泣くのは一年後の命日まで、と。
スクラップの谷で妹アサを看取った生身の剣士サクも銀送りの歌を最後まで歌い、涙を胸に預けた。
その隣で、防護服もなく妹を素手で抱き、声をあげて泣いた体の99%が義体の放浪医ノーナ。どれだけ悲しんで泣いても、なぜか彼女だけは砕けない。
行き場を失った剣を彼女の用心棒として振ると決めたサクは病を治す道を探してノーナと旅に出る。
その先で出会うのは、母を奪われた少女、患者を狩る義体の騎士「白鴉」、死者の名を覚え続ける心を持ったアンドロイド「迷い星」。
白の王都と荒野の戦火のあいだで右腕の古傷に銀の筋が浮きはじめても彼はまだ泣かない。
文字の読めない剣士はなぜ絵日記の一ページ目の裏だけを読もうとしないのか。
登場人物
主人公 サク
義体化社会で数少ない完全生身の剣士。亡き妹の命日まで泣かないと心に決め、音速の抜刀術で放浪医ノーナの用心棒となる。師を持たず、手元にあるのは謎の直剣と一冊の絵日記。誰一人いなくならない未来を求める不器用な男。
ヒロイン ノーナ
身体の99%を義体化されたモグリの放浪医。局所重力操作で人々を救い、誰もが忌み嫌う病の死に素手で寄り添い涙を流す。水に浮くほど軽い身体と明るいおせっかい。
【用語解説:ガラス病】
身体が透明な結晶へと変化し、最期には死に至る不治の病。人々からは「空気の呪い」として酷く恐れられ、患者や遺族は隔離・忌避される。この病の真相と治療法を突き止めることが、ふたりの旅の目的となる。
【用語解説:白鴉(はくあ)】
ガラス病の患者や感染疑いのある者を強制回収する冷酷な衛生部隊。白い防護服を纏い荒野の人々から「連れ去り屋」と恐れられている。患者を匿う者や接触した者も容赦なく取締りの対象とする。