あらすじ
北の山には、言葉を持たない竜がいる。
でも私は知っている。あの竜には、八万字ぶんの台詞があったことを。
前世の私が書いて、発売直前に丸ごと削られた、乙女ゲームの隠しルート。
竜と話せる宿屋の娘になった私は、辺境の村を焼く筋書きを変えた。
竜の天気予報、竜の蜂蜜酒、百年ぶりの冬祭り。
けれど春になれば、南の神殿で聖女が目覚め、本編が始まる。
そしてこの世界には、削られたのは竜だけではない。
台詞を入れてもらえなかった人たちが、まだ口を開けたまま黙っている。
「書いた者の責任だろう。私の背に乗れ」
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