あらすじ
警察官になる夢を諦めた僕、榊透は、大学時代の先輩に頼まれて、とある女性の手伝いをすることになった。
彼女の名前は、白石真琴。
探偵事務所を営んでいる――わけではない。
彼女はただ、人の話を聞く仕事をしている。
事故やトラブルの当事者、会社員、家族、時には犯罪の容疑をかけられた人間。
彼女がするのは、話を聞くことだけ。
そして最後に、必ずこう言う。
「すみません。その話、ひとつだけおかしいです」
真琴には、人の嘘を見抜く超能力なんてない。
表情から心理を読むこともしない。
ただ、誰かが何気なく口にした言葉と、現実に起きた出来事を、一つずつ並べ直す。
その結果、本人ですら気づかなかった「記憶のズレ」が浮かび上がる。
これは、特別な力を持たない女と、何者でもない僕が、誰にも気づかれていない嘘を拾っていく物語。