あらすじ
蝶番モルフォは、全国でも名を知られる六歳上の兄・アゲハに憧れ、幼い頃から卓球を続けていた。
「兄妹で嵐を起こそう」
そんな約束を交わした直後、アゲハは合宿帰りのバス事故で命を落とす。
それから二年。
卓球から離れていた十歳のモルフォは、合同三回忌で兄の元コーチ・蛍瀬光輝と再会する。
かつて世界ランキング三位にまで上り詰め、世界の名だたる大会で銀メダルを獲得した光輝もまた、事故で教え子たちを失い、声を出せなくなっていた。
三回忌の会場で兄のラケットを握ったモルフォは、胸の奥に残っていた気持ちに気づく。
――もう一度、卓球がしたい。
その思いに背中を押され、モルフォは帰ろうとしていた光輝を追いかける。
「私のコーチになってください!」
その一言をきっかけに、兄を失った少女と、教え子を失った元天才選手の止まっていた時間が、再び動き始める。
そしていつしか、兄と交わした約束は、モルフォ自身の夢へと変わっていく。
これは、小さな蝶の羽ばたきが、いつか世界に大きな嵐を巻き起こすまでの物語。