あらすじ
「お前、今日で抜けろ」
S級目前の冒険者パーティー《紅蓮の牙》から、戦えない“雑用係”として追放された修復師レオン。
彼が毎晩やっていたのは、剣を磨くこと。
杖を手入れすること。
鎧を直すこと。
――少なくとも、仲間たちはそう思っていた。
その日の夜。
ガルドの大剣が折れた。
レシアの杖から魔法が出なくなった。
バルトの鎧は戦闘中に壊れた。
鍛冶師が告げる。
「今日壊れたんじゃない。今日まで壊れないようにされてたんだ」
一方、追放されたレオンは、市場で銅貨五十枚の鉄屑を買う。
なんとなく直してみた。
それは――三百年前に失われた国宝級の聖剣だった。
さらに、半年間誰にも直せなかった転移門。
古代魔道具。
壊れた身体。
摩耗した技能。
失われた記録。
本人だけが知らなかった。
レオンの《修復》は、ただの修理ではない。
そして彼を「役立たず」と切り捨てた者たちは、少しずつ知ることになる。
自分たちが捨てた男が、今まで何を直していたのかを。
これは、誰にも価値を認められなかった修復師が、
壊れたものを直しながら、
もう戻る必要のない人生を手に入れていく物語。