あらすじ
東欧に誕生した新興国家、カラディシア。
石畳の路地と大聖堂が残る中央文化区画。その周囲には、巨大な中庭を持つ集合住宅、屋上をつなぐ空中歩道、誰でも休憩や宿泊ができる公共施設が広がっている。
この国では、人々は必ずしも長時間働かない。生活に必要なものは驚くほど安く、誰もが自分の時間を持っている。もっとも、時間があるからといって、何か有意義なことをするとは限らない。
リトアニアから引っ越してきたばかりの女子高生。スランプを抱えた若い小説家。チーズの市場調査にやってきた、自称暗殺者。そして、公共施設に半年も居座ってゲームばかりしている女。
彼らを迎えるのは、少し変わった国民たちと、観察を何より好む外務大臣ヨハンナ。
ある者は仕事を探し、ある者は恋をし、ある者は怪物を追い、ある者は今日も暖炉のそばでゲームをする。
雪に閉ざされた夜、何も買わなかった買い物帰り、路地裏での偶然の出会い。そんな何気ない出来事が、やがて誰かの人生を少しずつ変えていく。
これは、理想郷でも楽園でもない、少々風変わりな国で暮らす人々の物語。