あらすじ
吉岡憲治(よしおか けんじ)、41歳。中堅メーカーの営業係長。
理不尽なトラブルと中間管理職の激務に胃を痛める彼の唯一の救いは、休日のソロキャンプだった。
ある金曜の夜、亡き祖父から相続した長野の山林で、苔むした古い石室を見つける。
奥へ足を踏み入れると――そこは二重の月が浮かび、静かに波打つ異世界の巨大な湖畔だった。
スマホは圏外。誰もいない静寂の森。
「……ここ、最高のキャンプ場じゃないか?」
持ち込んだのは、大容量ポータブル電源、LEDランタン、寝心地抜群のローコット。
焚火で炙るソーセージに、キンキンに冷えた缶ビール。
ただ静かにチルしたいだけだったのに、森で出会った傷だらけの中年狩人に湿布とフリーズドライ豚汁を振る舞ったことから、少しずつ歯車が動き出す。
「ケンジおじさん、この甘いお菓子なに!?」(森の少女)
「この黒い液体(コーヒー)と椅子……人をダメにする気か」(カタブツな新米女監察官)
「先輩、今週末もあの山に連れてってください……!」(限界寸前の後輩女子)
ホームセンターで資材を調達してウッドデッキを組み、ダッチオーブンで現地食材を極上メシへと変えていく。
平日は会社で頭を下げ、週末は異世界で仲間たちと火を囲む。
疲れた中年男が手に入れた、絶対に邪魔されない最高の週末スローライフ、開幕。