あらすじ
神奈川県・S市の郊外に広がる、開発が頓挫した未完成の造成地「白鷺台」。
誰もいないはずの白いモデルハウスに灯りがともる夜、街では奇妙な連続殺人が幕を開けた。
肺から海水が検出された元営業マン、白い砂を握りしめて転落死した介護士、塩の円の中で焼死した元市議――。
被害者たちの共通点は、かつて「白鷺台」の開発プロジェクトに関わっていたこと、そして「13番目の区画」の秘密を知っていることだった。
S市立病院の病理医・御崎薫は、第一の事件の司法解剖を担当したことから、この悪夢の連鎖へと巻き込まれていく。
幼い頃に失踪した母の記憶。造成地の地下に眠る、かつて行われた「恐怖の実験」の記録。
そして、調査を進める薫の前に現れた、穏やかな精神科医・白鷺冴子。
「あなたも、何かを失った人間ですね」
彼女の口から語られる「人間は恐怖によって完成する」という歪んだ論理は、いつしか薫の心の奥底に眠る、抑えがたい暴力的な衝動を呼び覚ましていく。
これは、日常がじわじわと狂気に侵食され、一人の常人が「悪意の連鎖」の継承者へと堕ちていく物語。
綺麗で空虚な「白の檻」の扉が開くとき、最後に笑うのは誰か――。