あらすじ
IT企業を一代で上場させ、「キャリアウーマンの星」と称えられる間宮紗英、四十三歳。元モデルの美貌と冷徹な知性を武器に、彼女は仕事も外見も、すべてを自分の手でコントロールしてきた。
だがその完璧な仮面の裏には、誰にも明かせない傷と、決して満たされない飢えがあった。
ある夜、紗英は古代メソポタミアの遺物「ラマシュトゥの石板」を手に入れる。それは、夜に子供を攫う悪霊を刻んだ、資産価値もない粘土板だった。なぜ買ったのか、彼女自身にもうまく説明できない。
その日を境に、東京の夜から乳幼児が消え始める。
事件を追うのは、幼い息子を亡くした刑事・佐伯達也。彼は、犯人が「選んで」いることに気づく。力任せの犯行ではない。知性と、社会的な地位と、強烈なプライドを持つ誰かが、静かに網を張っている。
笑顔のまま人を傷つける女社長。彼女に憧れ、怯える若い秘書。執念で真相に迫る刑事。
石板は呪いなのか。それとも、ただの石なのか。
そして、なぜ彼女は「ただ一人」だけを手元に残したのか。
完璧な仮面が剥がれる夜、彼女が下す選択とは。