あらすじ
15歳の誕生日、ろうそくを吹き消した瞬間に思い出した。
ここは前世で遊び尽くした乙女ゲームの世界。そしてわたしは、公式ファンブックの家系図に「17歳で病没」と一行だけ載っている、名前しかないモブ令嬢だった。
どうせ17歳で死ぬなら、残りの時間は好きに生きよう。
4年ぶりに戻った侯爵家で、リーゼは控えめな令嬢の顔を保ったまま、頭の中では推したちに全力で歓声を上げる。
――その心の声が、家族全員にだだ漏れだとも知らずに。
「お兄様、今日も顔面国宝」「お父様、本当は甘いもの好きよね」「どうせわたしは17で死ぬし」。
聞こえてしまった家族は、ある約束を交わす。
――決して、聞こえていると悟らせない。口では反応せず、黙って行動で示す、と。
けれど、ゲームの知識で家族や推しを救っていくリーゼは、自分の皿の上だけは数えない。
「愛されてるのは知ってる。でも、わたしは頭数に入れなくていいの」
やがて舞いこんだ縁談の相手は、髪さえ短ければ完璧だった公爵家の嫡男。
「どうせ17歳で死ぬので、一年だけの妻でいいです」
そう言って嫁いだ先は、なぜか全員に心の声が筒抜けの、推しだらけの義実家で――。
全部知っていたはずの娘が、知らない人を知ろうとして、自分を家族の数に入れるまでの、勘違い溺愛コメディ。
※ハッピーエンドです。