あらすじ
それは、バブル崩壊後による超不況下の頃だった。元マラソン・
ランナーで日本新記録を持つ男がが傷害と飲酒運転により刑務所に
入れられてしまった。岩手県出身で、その韋駄天走りゆえに、かつ
てはイワテノメロスと仇名されていた。
獄中で、坂本というヤクザの囚人長がマラソン賭博の八百長で陸
上界から追放されたメロスを、手下に命じて痛めつけた。囚人の親
よりランナーのメロスに憧れる車イスの坂本の息子が、八百長事件
の精神的影響でリハビリを拒否して歩けないという背景があった。
八百長の目的は母親の手術費を稼ぐためだったというメロスの言
い分を聞いて、坂本との確執はなくなり、所内の運動会のドサクサ
にメロスは坂本の手引きで単身脱走した。そして〝ノーゼッケン〟
のまま東京国際マラソンに出場し、トップでゴール直後、メロスは
手錠をはめられ連行された。
網走刑務所に移送されていたメロスは、ヤクザの手引きで再脱走
した。密航先で顔の整形手術を受け、別人として他国籍でオリンピ
ック出場を画策した。カシム・アベラという偽名・偽顔でメロスを
出場させて、違法ブックメーカーに賭けた。だが、優勝したアベラ
に疑問が持たれて、メロスとアベラの走法の科学的分析が検証され
始めた……