あらすじ
長年勤めた会社を、本人の意思とは関係なく退職することになった景司。仕事一筋に生きてきた彼にとって、仕事のない朝は想像以上に長く、心にぽっかりと穴が開いたような日々だった。そんなある日、かつての上司から新しい「TUGIプロジェクト」への参加を頼まれる。厳格で融通の利かない性格の景司は、若い社員たちと衝突しながらも、現場の問題に向き合い、仕事の本当の意味を見つめ直していく。やがてTUGIは当初の形を終えるが、上司から思いがけない言葉が届く。「元の仕事に戻ってもらえないでしょうか」。一度は自分を必要としなくなった会社へ、景司は再び戻る。そこにあったのは過去への復讐でも、失った地位の回復でもなかった。ただ、自分の好きな仕事をもう一度したいという、素朴な願いだった。仕事とは何か。必要とされるとはどういうことか。そして、人生をもう一度始めるとはどういうことなのか。景司の静かな再出発を描く、人間味あふれる物語。