あらすじ
クラスでは、いてもいなくても変わらない。
そんな存在だった俺のスマホに、ある日、見覚えのないアプリが現れた。
『命令アプリ』
名前を入力し、命令を書き込む。
たったそれだけで――相手はその命令に逆らえなくなる。
もちろん、最初は信じなかった。
試しにクラスのギャルへ入力した命令は、
『俺に消しゴムを貸して』
それだけだった。
「はい、これ」
その瞬間から、俺の日常は壊れ始めた。
ギャル、優等生、地味なクラスメイト、誰もが憧れる高嶺の花。
今まで俺とはほとんど接点のなかった少女たちと関わるようになっていく一方で、俺は学校の裏側に隠れていた問題まで知ることになる。
陰湿ないじめ。
後輩を利用する上級生。
家庭で苦しみながら、誰にも助けを求められない生徒。
俺には、それを止められる力がある。
警察でもない。
教師でもない。
正義の味方でもない。
それでも――見て見ぬふりだけはしたくなかった。
誰にも知られないまま「命令」を使い、俺は学園の裏側へ踏み込んでいく。
だが、万能だと思っていたこのアプリには、まだ俺の知らないルールがあった。
そして俺自身も、まだ気づいていなかった。
誰かを思い通りにできることと、
誰かに本当に必要とされることは、
まったく違うということに。