あらすじ
あの日、俺の心は壊れた。
いいや、違う。
本当はずっと前から壊れていたんだ。
高校一年の六月、幼馴染の誕生日。
二人で遊んで、最後は告白する予定だった。
いつも以上に気合を入れて誕生日プレゼントを選び、映画館の予約もしていたのだが……
「ごめんね……もう誘ってこないで」
朝のホームルームが始まる前、俺の幼馴染――夏野凛がいつもと変わらぬ表情で言い放つ。
……幼馴染であり、俺が何年も想い続けた大好きな人。
そんな幼馴染に、最も言われたくない言葉を投げ捨てられた。
それも、大勢のクラスメイトがいる前で。
教室内は異様な空気だった。
俺に向けられる困惑と好奇の視線。
凛の隣で、冷たい嘲笑を浮かべる神宮寺。
『もう誘ってこないで』という呪いのような言葉と表情が脳内で反芻され、俺が忘れようとしていた過去のトラウマが溢れ出していく。
俺はこの日以降、夏野凛の顔を見るだけで吐き気と激しい発作を起こすようになった。
あいつがいなければ、俺は今もあの暗闇にいたかもしれない――
そう。あいつがいなければ……
これはすべてを失って壊れていた俺が、自分を取り戻すまでの物語。