あらすじ
きっかけは、たった一度のマッチだった。
28歳の中村直人がマッチングアプリで知り合った、美咲という女性。
好きな映画の話。
仕事終わりの何気ない愚痴。
眠れない夜の電話。
顔を合わせたことはないのに、気づけば彼女は、誰よりも近い存在になっていた。
ただ、美咲にはひとつだけ奇妙なところがあった。
何度誘っても、会ってくれない。
「もう少し仲良くなってから」
「今度ね」
「また予定わかったら連絡する」
理由はいくらでもあった。
だから直人も、深く考えなかった。
いつか会える。
そのとき笑い話にすればいい。
そう思っていた。
少しずつ積み重なっていく、小さな違和感。
そして直人は、彼女のことを知ろうとする。
なぜ、美咲は会ってくれないのか。
彼女は何を隠しているのか。
その答えを探すうち、直人は思いもしなかった過去へと辿り着いていく。
――僕が出会ったのは、ひとつの約束の続きだった。