あらすじ
ダンジョンが日本に現れてから約五十年。
魔獣を倒し、未知のアイテムを持ち帰る「冒険者」が一つの職業として定着した世界で、冒険者たちの間に知られる一人の情報屋がいた。
名は――《ニノマエ》。
ダンジョンの構造、魔獣の生態、危険地帯、攻略ルート。高額ながら正確な情報を売る《ニノマエ》は、多くの冒険者から頼られる一方、その素性を知る者はほとんどいない。
そんな《ニノマエ》の正体は、二ノ宮瑛士という一人の少年だった。
かつては誰よりもダンジョンが好きで、冒険者になることを夢見ていた瑛士。しかし中学三年の冬、突如として現れた災禍級魔獣《ヤマタノオロチ》によって両親を奪われ、その人生は一変する。
高校への進学を捨て、家も家財も手放し、ネットカフェを転々としながら情報を売り続ける日々。
すべては、ヤマタノオロチをこの手で殺すため。
剣の才能も、圧倒的な魔法も必要ない。
情報を売って金を集め、その金でさらなる情報を買い、誰も知らない魔獣の弱点へ辿り着く。
そんな生活を二年間続けていた瑛士の前に、ある日、一人の女が現れる。
「二ノ宮瑛士くん。少しだけ、話を聞いてもらいたいのだけれど」
誰にも明かしていないはずの《ニノマエ》の正体を知る彼女との出会いによって、瑛士の復讐は大きく動き始める。
これは、剣や魔法ではなく――誰よりも集めた「情報」を武器に、最強の魔獣へ挑む少年の物語。