あらすじ
エリアーヌ王女は、ずっと「良い娘」だった。
着る服も、食べるものも、読む本も、付き合う相手も――すべては母である王妃が決めてくれる。
エリアーヌは、それを窮屈だと思ったことなど一度もなかった。
お母様は誰よりも自分を愛し、守ってくれている。
だから、お母様の言うことを聞いていれば幸せなはずだった。
そんなある日、王妃が数日間だけ城を離れる。
初めて自分で服を選ぼうとして、エリアーヌは気づく。
――私は、自分が何を好きなのか分からない。
戸惑ったまま城下町へ出た彼女は、パン屋で働く少女ミナと出会う。
そして、生まれて初めてこんなことを聞かれた。
「王女様は、何が好きなんです?」
好きな色。
好きな食べ物。
好きな本。
行きたい場所。
小さなことを一つずつ自分で選び始めたエリアーヌ。
しかし、それを知った母は告げる。
「もう、その娘に会ってはいけません」
なぜ母は、娘が自分で選ぶことをこれほど恐れるのか。
幼い頃の曖昧な記憶。
何度も夢に現れる雪景色。
そして、決して外してはいけないと言われてきた青い宝石。
「お母様は、本当に私のことをすべて知っているの?」
これは、母の望む「良い娘」だった王女が、初めて自分自身の人生を選ぼうとする物語。