あらすじ
かつて貴族社会では、舞踏会の場で「婚約破棄」を宣言するのが一種の流行だった。
しかし、今やそんなものは時代遅れ。
恋人や婚約者と別れたいなら、少しずつ連絡を減らし、自然に関係を消滅させる。それが現代の常識だった。
――ただし、この国には一つだけ妙な法律がある。
**婚約から一年以内に「婚約破棄」を正式に宣言すると、なぜか二人の婚約が正式に成立する。**
そんな時代に生きる令嬢フィオナのもとへ、王子が現れる。
「すまない、フィオナ。君との婚約を破棄させてもらう」
「あら、婚約破棄だなんて時代遅れですわ」
どうやら王子は、昔ながらの婚約破棄をしようとしているらしい。
しかも二人は婚約してまだ半年。
このまま宣言を許せば、二人は法律によって正式な婚約者になってしまう。
「別れたいのでしたら、何もおっしゃらず、私への連絡を少しずつ減らしてくださいませ」
「そんな別れ方でいいのか?」
「今はそれが普通ですわ」
こうしてフィオナは、王子との関係を自然消滅させようとする。
ところが王子は、なぜか三日も連絡を絶つことができない。
周囲の貴族たちも、「一か月連絡がなければ別れたことになる」「婚約破棄を口にしてはいけない」「あと半年待てば正式に破棄できる」など、妙な恋愛事情を語り始める。
そしてフィオナ自身も、次第に気づいていく。
自然消滅が当たり前になったこの時代で、本当に必要なのは――
「別れること」なのか。
それとも、面倒でも相手ときちんと話すことなのか。
婚約破棄を避けるために始まった、ちょっとおかしな恋愛攻防戦。
果たして二人の関係は、自然消滅するのか。
それとも――まさかの正式な婚約になってしまうのか。