あらすじ
落ちるはずの瓶が、落ちなかった。
三メートル離れた男の手に、いつの間にか収まっていた。
2046年、東京。
修理店で働く十九歳の朝倉律は、昔から「何かがおかしい」と感じることがあった。理由は分からない。説明しても、気のせいで済まされる。
ある日、店へ持ち込まれた記録端末が、目を離した一秒の間に偽物へ変わる。
持ち主は、火災で兄を亡くした水科真矢。兄の死を事故だと信じていない彼女にも、人には話せない秘密があった。
奪われた遺品を追ううちに、律は自分の感覚の正体を知る。
予測と現実の食い違いを感知する力――《誤差》。
それは未来を見通す力でも、真実を教える力でもない。
分かるのは、予測が外れたということだけ。間違っているのが世界なのか、自分なのかさえ分からない。
何を見落とした?
相手は何を隠している?
その失敗は、本当に失敗だったのか?
観察し、仮説を立て、確かめる。
誰も異能力の存在を信じない街で、律と真矢は、見えないルールを持つ相手に挑む。
近未来異能力サスペンス、開幕。