あらすじ
ハーフで金髪、青い瞳をした大学のアイドル的存在の杏奈。4年夏の二人旅、ドMと明かした彼女は、夜の密室で「もっと苦しいことして」と要求してくる。
将来への息苦しさから逃げるように飛び乗った、オンボロ軽自動車。
あてもなく西へとひた走る昼間のドライブは、美味しいものを食べて、くだらない軽口で笑い合う楽しい旅のはずだった。
――それなのに、日が落ちて狭い車内にふたりきりになると、彼女は底知れない沼のような本性を剥き出しにする。
「内緒にしてあげるから、私のお願い聞いて?」
衝動のままに落とす衝動、奪う呼吸、首筋に顔を埋めて貪る汗とシャンプーの匂い。そして、痛めつけたその手で髪を梳いて慈しむ、異常な甘やかし。
狭い空間に立ち込める湿った熱気と、苦しそうに蕩ける青い瞳。
昼の眩しい笑顔と、夜の壊れたような横顔。
その尋常じゃない落差に混乱しながら、私の理性もまた、彼女を痛めつける背徳に溶かされていく。
ただの仲のいい友達だったはずなのに。
楽しかったはずの私たちの旅は、一体どこで歪んでしまったんだろう。
本州から四国を通り、九州へ。逃げ場のない中で、
呼吸を奪い合い、新たな関係へと堕ちていくふたりの逃避行。