あらすじ
人類は、アフリカを出て、長い時間をかけて世界へ広がっていった。
その旅の果てに、日本列島へたどり着いた人々を思い浮かべる。
もし彼らが、大陸での競争に敗れ、追われるように海を渡ってきたのだとしたら――。
そんな少し自虐的な想像から、この物語は始まる。
けれど、考えていくうちに、ひとつの疑問が生まれる。
なぜ人々は、厳しい自然の中で何千年もここに暮らし続けたのだろう。
地震、火山、台風、大雨、雪。
人間の都合など聞いてくれない土地で、人々は自然を知り、備え、助け合い、暮らしを続けてきた。
逃げてきた場所は、いつしか故郷になった。
そして、そこで生きるための知恵は、記憶となり、文化となり、次の世代へ渡されていった。
それは、日本人だけの物語なのだろうか。
ある土地で長い時間を生きれば、どんな人々にも同じようなものが生まれるのではないだろうか。
「ここで生きる」という覚悟。
「こうありたい」という美学。
そして、自分が受け取ったものを、次の誰かへ渡していくという営み。
日本列島から始まった小さな問いは、いつしか人類そのものの長い旅へとつながっていく。
人間は、どこから来て、どこへ向かうのか。
そして、私たちは未来へ、何を渡すのか。