あらすじ
「見栄えが悪いから、婚約者を妹に譲りなさい」
十五歳から十年間、アリシアは一人で領地の結界を守ってきた。
結婚を何年も延期し、倒れても魔力を注ぎ続けた。
その結果、痩せて顔色が悪くなった彼女に、家族が告げたのは感謝ではなかった。
美しく着飾った妹は、アリシアの婚約者のもとへ。
アリシアは家に残り、これからも結界を張れという。
「十年間、代わりの魔導師を探していたのではないのですか?」
「お前がいるのに、わざわざ高い金を払って雇う必要があるか」
――もう、十分だ。
領民が避難できる猶予を残し、アリシアは結界を捨てて家を出た。
十年待ってくれた婚約者は、そんな彼女を迷わず迎え入れる。
一方、娘が戻ればすべて元どおりになると思っていた家族は、王宮へ訴え出るが――。
十年間、アリシアの犠牲で成り立っていた暮らしの代償を、思い知ることになる。