あらすじ
子どもの頃、なぜ、父の実家だけあんなに居心地が悪かったのだろう。
家はいつも綺麗で、料理もたくさん並んでいる。
それなのに、父が帰ると空気が変わる。
親族たちは、まるで父が何か悪いことでもしたかのような目で父を見る。
子どもの私には、父が犯罪でも犯したのではないかと思えるほどだった。
一方、母の実家は土ぼこりもあれば、虫も入ってくる。
それでも、
「よく来たな」
「また、いつでも来なね」
そう言って、いつも笑って迎えてくれた。
なぜ、父の実家だけあんなに居心地が悪かったのだろう。
母のエッセイを書くために昔の話を聞いていた私は、偶然、父が二つの土地を持っていることを知った。
「もう一つの土地って、どこにあるの?」
「お父さんの実家よ」
そこから、子どもの頃には分からなかった父の話が始まった。
十三歳から、何十年も続いた土地の話。
そして私はようやく、あの家で感じていた違和感の理由を知ることになる。