あらすじ
「悪いけど、僕の葬式が終わるまで待ってくれないか」
遺体袋の中から、そう言われた。
都市の地下にダンジョンが広がる現代日本。
真壁遼、三十二歳。仕事は、地下に残された遺体や遺品を地上へ運ぶ回収屋だ。
勇者の名声より、今日の昼飯と駐車料金。
危険な仕事には追加請求。
引き受けた荷物は、きちんと届ける。
そんな遼が回収したのは、脈も呼吸もないのに、やたらと話の通じる勇者・朝倉晴だった。
帰りたくない死人。
放っておけない人間を見つけるたび、仕事を増やす勇者。
そして、地下から届いた一枚の伝票。
回収対象――真壁遼。
返却先――最下層。
遼には、重力を曲げる力がある。
手首の留め具を開けば、怪物も瓦礫も宙に浮く。
ただし、客も帰り道も無事では済まない。
「助けるのはいい。先に見積もりを出させろ」
強すぎて力を絞る回収屋と、死んでも人助けをやめない勇者。
帰るだけの仕事が、どうしてこうも終わらない。