あらすじ
「私メリーさん。今、富士山を眺めているの」
大学二年生の前原陽太は、場所当てゲーム「ジオダイブ」の国内ランカー。ある日かかってきた非通知のいたずら電話を、彼は怖がるどころか「最高難度の場所当て問題」として楽しみはじめた。
電話の主は背戸芽里、十九歳。商店街ですれ違った陽太に勘違いの一目惚れをして、住所も大学も電話番号も調べ上げた。行動力だけは異常にある、要するにストーカーである。
そして十一月五日。「今、あなたの後ろにいるの」という電話の直後に、芽里はトラックに撥ねられた。
目を覚ました先は、異世界転生の受付窓口だった。
「メリーさん枠はもう異世界に行ってて埋まってます」
追い返された芽里は、現世で空席になっていた本物の怪異「メリーさん」に配属される。
電話をかけるたびに、芽里は日本のどこか、ときには世界のどこかへランダムに転移する。看板の地名は滲んで読めない。芽里が伝えられるのは、目に見える景色だけ。それを聞いて、陽太が居場所を推理する。
ただし、当てるほど芽里は陽太に近づく。背後に着いたとき、陽太は死ぬ。
外し続ければ、芽里の声にはノイズが混じり、やがて消えてしまう。
試用期間は四十九日。
誰にも気づかれずに生きてきた少女と、当てずにはいられない男の、命がけの場所当てコメディ。