あらすじ
黎明の光、奈落の闇
『神に愛された天才』。かつて、アルス・レンブラントはそう呼ばれていた。
十五歳という若さで聖騎士団の副団長に上り詰め、帝国最高峰の魔術と剣技を操る彼の手には、輝かしい未来だけが握られているはずだった。
しかし、神の気まぐれはあまりにも残酷だ。
「――アルス・レンブラント。貴様を国家反逆、および魔王崇拝の罪で追放処す」
冷徹な声が、大聖堂に響き渡る。
無実の罪だった。すべては、アルスの才能を妬んだ貴族たちの仕組んだ罠。
言い訳の機会すら与えられず、彼の胸には罪人の証である『烙印』が焼き付けられた。それは魔力を強制的に乱し、まともな魔法発動を不可能にする呪いの呪詛。
剣を奪われ、名誉を奪われ、魔力さえも奪われたアルスは、奈落と呼ばれる底なしの魔の森『グラスト・ヘイム』の深淵へと突き落とされた。
「ここで死ね、天才」
嘲笑とともに閉じられる大結界の扉。
それが、最強と呼ばれた少年の『終わり』であり、すべての『始まり』だった。