あらすじ
三年間、私は黒龍家当主・蒼月の婚約者だった。
龍の血を引く皇族には、生涯ただひとりの「番」が現れる。
だから、新たな番として白蓮が現れたとき――私は婚約者の座を譲った。
「俺は、白蓮を選ぶ」
……なのに、おかしい。
私は泣けなかった。
怒れなかった。
何も感じなかった。
まるで、三年間抱えていた想いそのものが、最初から存在しなかったかのように。
故郷へ戻った私は、母が遺した古文書の中に奇妙な記述を見つける。
『龍の力を受け止める者』
『龍を支える者』
そして、そこに描かれていた紋章は――私の家に伝わるものと同じだった。
やがて私は知ることになる。
「番」と呼ばれてきたものの裏側に隠された、もうひとつの役目を。
これは、愛を奪われた令嬢が、自分でも知らなかった運命と向き合い、最後には自分自身の幸せを選ぶ物語。