あらすじ
暁暦412年。ガルディア帝国とヴェスタリア共和国の戦争は、長い冬を迎えていた。
共和国の最前線、要塞ブラウヴァル。そこに配属された17歳の少尉ライナス=ハーゲンを待っていたのは、「捨て駒中隊」と呼ばれる寄せ集めの第七独立機甲中隊だった。
前世は、三連勤明けに階段で死んだ31歳の整備士。
今世の操縦適性はC。それでも彼には、機体の音と振動から限界を聴き取る耳がある。
格納庫の奥に眠っていたのは、二つの炉を持つ廃棄寸前の試作機〈ヴェンデル〉。「灰色の鴉」と呼ばれたその機体は、二つの心臓が奏でる「うなり」を耳で合わせて、初めて本来の力を出す。
敵は、物量で押し潰す帝国の重装機甲部隊。味方は、補給も増援も乏しい要塞と、癖の強い仲間たち。
彼は誓う。「全員を連れて帰る」。
その誓いが戦場でどれほど重いかを、まだ知らない。
死地を、一つずつ生き延びるために。耳で聴き、数字で読み、機体の声に従って。
◆熱血と笑いと、容赦のない戦場の物語です。
◆主人公は最強ではありません。仲間は死にます。それでも前へ進みます。